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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页
景岡秀三郎は、殆んど総ての時間を、浴槽の下にある、薄暗い部屋で送っていました。その部屋は、勿論景岡一人しか知らない秘密の部屋で、浴場の裏に附属している母屋の、彼の私室である二階から、裏階段を通って直接下りて行く以外に道がなく、従って、雇人たちの眼に触れずに、こっそりと往復することが出来るのでした。
その部屋の様子は、一口でいえば、硝子張の天井を持ったコンクリート造りの地下室――だったのです。
地下室で、四囲は真暗ですから、頭の上の硝子張(浴槽の底)を透して来る光だけが、ほのぼのと部屋を照らしていますその光りで見ると、その部屋にはたいして道具などもなくただ、安楽椅子ともいうべき寝椅子と、その他二三脚の普通の椅子、それに莨盆を乗せた小さい卓子……等だけが、ほんのりと浮き出して見えるきりです。
二三尺もお湯を透して来る光りは、この為にこの景岡浴場は充分過ぎるほど採光に意を払って建てられているのですけれど、それでも妙に蒼味がかった、何んともいえない色合を見せていました。恰度――なんていいますか、あの厚いガラス板を縦に見た時に、深淵の澱んだようなモノスゴイ蒼さを見せますけど、一寸、あの感じ……とでもいいましょうか。