轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おそろしきさくご

恐ろしき錯誤

江戸川 乱歩

「新青年」博文館、1923(大正12)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,075 字 · 46 页

青空文庫

それに引換えて、家の中の彼等の一団の静かさが、何とまあ不思議な程であったことよ。どれ程の時間だったか、余程長い間、彼等は身動きさえしないでシーンと静まり返っていた。

一時は火のつく様に泣叫んでいた幼児も、もうすっかり黙り込んでいた。

程へてから、友人の細君が、まるで、つまらない世間話でもしている様な、ゆったりした調子でこう云った。

「奥さんはどうなすったのでしょうね、ねえ、あなた」

「そうだ、大分時間もたったのに、おかしいな」

友人は北川氏の顔をじろじろ眺めながら、考え深そうに答えた。

そんな訳で、彼等が妙子を探しに出掛けたのは、流石に烈しかった火勢も、もう下火になった頃であった。

だが、探しても探しても妙子の姿は見えなかった。知り合の家を一軒ずつ尋ね廻って、もうこれ以上手の尽し様がないと思ったのは、はや夜の明けるに間もない頃であった。

へとへとに疲れ切った北川氏は、一先ず友人の家へ引上げて、兎も角も床についた。

その翌日、焼跡の取かたづけをしていた仕事師の鳶口によって北川氏の家の跡から、女の死骸が掘り出された。

そして、始めて、妙子が何のためだか、燃え盛る家の中へとびこんで、焼死んだということが分った。