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きょうふのくちぶえ
恐怖の口笛
海野 十三
「富士」1934(昭和9)年8月号~11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,713 字 · 122 页
僕たちはその青竜王の右の小指なんだよ」
「まあ、あなたが小指なの」
「ちがうよ。小指はこの大辻さんで、僕が右の腕さ」
「青竜王がここへいらっしゃるの?」
「ううん」と少年は急に悄気て、かぶりを振った。「青竜王がいれば、こんな殺人事件なんか一と目で片づけてしまうんだけれど。だけれど、青竜王はどうしたものか、もう十日ほど行方が分らないんです。だから僕と大辻さんとで、この事件を解決してしまおうというの」
「オイオイ勇坊。つまらんことを云っちゃいけないよ」
「そうだ。それよりも早く結論を出すことに骨を折らなければ……」と勇少年は再び大辻の方を向いていった。「大辻さんには分っているかどうかしらないけれど、この学生さんは始めその木の陰で向うを向いて腰を下ろしていたんだよ。するとネ、学生さんの背後の繁った葉の間から、二本の手がニューッと出て、細い針金でもって学生さんの首をギューッと締めつけたんだ。それでとうとう死んじゃったんだ」
「そのくらいのことは分っているよ」と大辻が痩せ我慢をいった。
「どうだかなア。――そこで犯人は、表へ廻って、この屍体の側に近よった。そして咽喉のところを喰っ切って血を出してしまったのさ。