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きょうふのくちぶえ

恐怖の口笛

海野 十三

「富士」1934(昭和9)年8月号~11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,713 字 · 122 页

青空文庫

帝都の安寧秩序を保つために、この際やるところまで極りをつけるのだ。ここで安心してしまう者があったら、承知しないぞ」

一座はその怒声にシーンとなった。

それから大江山課長は経験で叩きあげたキビキビさでもって、捜査すべき当面の問題を一々数えあげたのだった。

「第一に、生死のほども確かでないキャバレー・エトワールの主人オトー・ポントスを探しだすこと。第二に、痣蟹の乗って逃げた竜宮劇場の気球がどこかに墜ちてくる筈だから、全国に手配して注意させること。それと同時に痣蟹の屍体が、気球と一緒に墜ちているか、それともその近所に墜ちているかもしれぬから注意すること。但し従来の経験によると四十八時間後には、気球は自然に降下してくるものであること。第三に、覆面探偵を見かけたらすぐ課長に報告すること。以上のことを行うについて、次のような人員配置にする。――」

といってその担当主任や係を指名した。一同は何でも彼でも、それを突きとめて、課長の賞讃にあずかりたいものと考えた。

そんな物騒な話が我が身の上に懸けられているとも知らぬ覆面探偵青竜王は、竜宮劇場屋上の捕物をよそに、部下の勇少年と電話で話をしていた。