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わたしのちちとはは

惜しみなく愛は奪う

有島 武郎

有島武郎『惜しみなく愛は奪う』。同一底本的分册已合并为一书。收入:私の父と母、二つの道、片信、広津氏に答う、小作人への告別、宣言一つ、想片。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,351 字 · 70 页

青空文庫

マルクスがその「宣言」にいっているように、従来現存していたところの人々間の美しい精神的交渉は、漸次に廃棄されて、精神を除外した単なる物的交渉によっておきかえられるに至った。すなわち物心という二要素が強いて生活の中に建立されて、すべての生活が物によってのみ評定されるに至った。その原因は前にもいったように物的価値の内容、配当、使用が正しからぬ組立てのもとに置かれるようになったからである。その結果として起こってきた文化なるものは、あるべき季節に咲き出ない花のようなものであるから、まことの美しさを持たず、結実ののぞみのないものになってしまった。人々は今日今日の生活に脅かされねばならなくなった。

種子は動くことすらできない。しかしながら人は動くことと、動くべく意志することができる。ここにおいてマルクスは「万国の労働者よ、合同せよ」といった。唯物史観に立脚するマルクスは、そのままに放置しておいても、資本主義的経済生活は自分で醸した内分泌の毒素によって、早晩崩壊すべきを予定していたにしても、その崩壊作用をある階級の自覚的な努力によって早めようとしたことは争われない(一面に、それを大きく見て、かかる努力そのものがすでに崩壊作用の一現象ということができるにしても)。