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ゆかいなきょうしつ
愉快な教室
佐藤 春夫
「マドモアゼル 第一巻第五号」小学館、1960(昭和35)年5月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,276 字 · 21 页
三匹のチョビは女子の学校だけにみな女犬ばかりなのであるが、そのうちの一匹が子を産んだ時は、E子のスカートをくわえて子供を産み落したところへE子を連れて行ってみせた。E子はそれをそっと抱き上げて来て、自分の机のひき出しに入れて飼っていた。もし小使に見つかったら捨てられるから、こうして隠して置くと大切にしていたが、すこし大きくなった時、校庭の芝生に連れ出して、親子二匹の犬と遊んでいるところを見かけた近所の子供がその小犬をほしがったので、E子は苦労して育てた小犬をその子にくれてやることにした。
「昼間はいいけれど、夜になると誰もいない教室でひとりぽっちではかわいそうだものね」
というのがE子の小犬を近所にくれてやった理由であった。そうしてE子はその小犬が今に大きくなって学校へ遊びに来て、また自分たちの教室の犬になるものと思っていたのである。それが大きくなっても学校へ遊びに来ないのがE子の不平なので、友だちはE子を慰めて、
「学校へ遊びに来ないのは、飼われている家で大切にかわいがられている証拠なのだわ、学校へ集るのはみな、宿なしの野良犬ばかりなのだものね」