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ゆかいなきょうしつ
愉快な教室
佐藤 春夫
「マドモアゼル 第一巻第五号」小学館、1960(昭和35)年5月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,276 字 · 21 页
時計の見方を教えるのにもずいぶん苦心したらしい。こんな頭では競争試験のある小学校へ入れるかどうかと心配して、試験から帰つて来たのをつかまえて、
「どうした。試験はできた?」
「……」U子は黙って首を振り「ぜんぜん」とすまして答えたが、それでも入学していたのは、後に先生から聞くと運動神経のすばらしいところが買われたもののようである。当人も体操が一番好きだと言うとおり、器械体操の懸垂でも縄飛びででもU子は男女を問わず同級生中での第一人者だと言われている。わたくしはこのおもしろい子の行末を見ることを楽しみにしているが、U子もわたくしを父よりも母よりも好きだとなついている。この間もわたくしに甘えながら言うには、
「わたし早く大きくなってお姉ちゃんの学校へ行きたいの」
「今に行けるよ」
「今にではなく、すぐ」
「どうして?」
「だって、お姉ちゃんの学校では教室でみんなが、犬をたくさん飼っているのですって。とても楽しそうなの」
「ふうん、それは楽しそうだね。たくさんの犬をどうして飼うのだろう?」
「みんなでおべんとうの残りを犬にやるから野良犬が集って来るのですって。お姉ちゃんによく聞いてごらん。