轻松读懂日语经典作品
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あいよあい
愛よ、愛
岡本 かの子
岡本かの子『愛よ、愛』。同一底本的分册已合并为一书。收入:愛よ愛、現代若き女性気質集、女性の不平とよろこび、時代色、異性に対する感覚を洗練せよ、女性崇拝、山茶花、桃のある風景、病房にたわむ花、異国食餌抄、巴里の秋、売春婦リゼット、巴里のむす子へ、新時代女性問答、家庭愛増進術、良人教育十四種、岡本一平論、かの女の朝。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 46,138 字 · 99 页
だが、もっと地味に、決定的に、質実に、その本質を指定することも出来ない組み合せになって相当、年月を経た男女――少なくとも取り立てて男女などと感じなくなった自分達だけは、子の前などでは尚更「夫婦」なんてぷんぷんなまの性欲の匂いのする形容詞を着せられるのは恥かしい。よく年若な夫が自分の若い妻を「うちの婆さん」などと呼ぶ、あれも何となく気取って居るように思われるが、でも人の前で、殊に器量の好くない夫婦などが「われわれ夫婦」などと言うのを聞くのをかの女は好まない。新聞や雑誌などで、夫婦という字を散見しても、ひとのことどうでも宜いようなものの、好もしいとはかの女は思わない。
逸作とかの女との散歩の道は進む。
――あたし、あなたに見せるものあるのよ。
――そうかい。
――何だか知ってる?
――知らない。
――あてなさい、な。
――あたらない。
――あれだ。太郎から手紙よ。
――おい、見せなさいよ。
――道のまん中じゃあないの。
――好いからさ。
――墓地へ行って見せる。
かの女は袖のなかで、がさがさしてる息子の手紙を帯の間へ移す。くどく無い逸作は、或るものに食欲を出しかけたような唇を、一つ強く引き締めることによって、其の欲望を制した。