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らんだのかるた

懶惰の歌留多

太宰 治

「文芸」1939(昭和14)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,369 字 · 25 页

青空文庫

そのへんが、なかなかむずかしいのである。

もう四、五日余裕があれば、私も、いろいろと思案し、工夫をこらして、これを、なんとか一つの物語にまとめあげて、お目にかけるのだが、きょうは、すでに三月二日である。この雑誌は、三月十日前後に発売されるらしいのだから、きょうあたりは、それこそぎりぎりの締切日なのであろう。私は、きょうは、どんなことがあっても、この原稿を印刷所へ、とどけなければいけない。そう約束したのである。こんな、苦しい思いをするのも、つまりは日常の怠惰の故である。こんなことでは、たしかにいけない。覚悟ばかりは、たいへんでも、今までみたいに怠けていたんじゃ、ろくな小説家になれない。

を、姥捨山のみねの松風。

もって自戒とすべし。もういちど、こんな醜態を繰りかえしたら、それこそは、もう姥捨山だ。懶惰の歌留多。文字どおり、これは懶惰の歌留多になってしまった。はじめから、そのつもりでは、なかったのか? いいえ、もう、そんな嘘は吐きません。

わ、われ山にむかいて眼を挙ぐ。

か、下民しいたげ易く、上天あざむき難し。

よ、夜の次には、朝が来る。