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わがじんせいかん
我が人生観
05 (五)国宝焼亡結構論
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,599 字 · 19 页
この旅館の庭は、何百貫という無数の大石で原形なく叩きつぶされている。アイオン颱風というもののイタズラである。
私はこの川が海にそそぐところの、小田原市早川口というところの堤の下で洪水に見舞われたことがあるが、利根川の洪水とは、趣きが違う。利根川の洪水は、大陸的に漫々的で、巨人的であり、死神の国の茫々たる妖相にみちて静寂であるが、早川の洪水は違う。こんなウルサイ洪水はない。
箱根山上千米の蘆ノ湖から目の下の河口まで直流してくる暗褐色の洪水が、太平洋の水面より四五米の余も高く、巨大な直線の防波堤となって、一哩も遠く海中に突入しているのである。太平洋の荒波が、この水の防波堤につきよせ、ぶつかり、噴騰するが、暗褐色の直流する水勢の凄さは、海の荒波の如きは、なんの抵抗にもならないのである。荒波のさわぎを眼下にしたがえて、暗褐色の一直線の水流は海面上数米の高さにモックリとはるか水平線に向って長蛇の如くに突入している。遠く沖合に、荒波がこの防波堤に突き当って、噴騰し、山となって盛りあがり、シブキをあげているところもある。
しかし、より以上に呆れるのは、ゴロゴロと、河底一面しっきりなしに遠雷がとどろいている音響である。