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せんゆう

戦友

小川 未明

「新児童文化 第4冊」1942(昭和17)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,699 字 · 8 页

青空文庫

目の落ちくぼんだ、鼻の高い、小西一等兵と、四角の顔をした、ひげの伸びている岡田上等兵は、草に身を埋ずめ腹ばいになって話をしていました。

見わたすかぎり、草と灌木の生え茂った平原であります。真っ青な空は、奥底の知れぬ深さを有していたし、遙かの地平線には、砲煙とも見まがうような白い雲がのぞいていました。もう秋も更けているのに、この日の雲は、さながら、夏のある日の午後を思わせたのであります。

「故郷へ帰ったようだな。」

ときどき、思い出したように、あちらから、打ち出す銃声がきこえなかったなら、戦地にいるということを忘れるくらいでした。

「いやに静かじゃないか。」

「敵と相対しているという気がしない。散歩にきて臥転んで、話しているような気がする。」

「見たまえ、自然はきれいじゃないか。あの花は、なんという花かな。」と、小西が、いいました。

「おれは、草の名というものをよく知らないが、りんどうに似ていないのかな。」

岡田は、そう答えて、自分もそこの地上に咲いている花に目をとめました。すると、どこかで、細々と虫の鳴く声がしたのです。

小西は、頭を上げると、戦友の顔を見つめながら、