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てがみ
手紙
久生 十蘭
「小説と読物」1949(昭和24)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,158 字 · 30 页
村上さんがむずかしいのは、なんのためだったか、いまとなっては、よくわかって居ります。そのあいだ、村上さんは、どんなに、マーどんなに辛かったでしょうと思い、それを知らないでいたマリハツ・シロウがウラメシイです。
ところで、私のおろかなねがいは、すぐ聞きとどけられました。ニューギニア本土が終ってから三日目の朝、ジャビイス島とマルグレープ島の間で、それがなければよいと心配していた、恐ろしい物音を聞きました。それは大砲をうつ音と、汽車が走る音がまじったようなすごい音で、三浬も遠くから聞えてきました。
明けたばかりの海をすかして見ますと、一匹が半町四方もあるような大※(「魚+覃」、第3水準1-94-50)が二十匹ばかり、かわるがわる高く空に飛びあがっては、ダイナマイトの爆発するような音をたてて平らに海の上へ落ち、魚の群をおどかして、食べやすいように一カ所に集めながら、だんだん舟のほうへ追いこんでくるのであります。私は大きな声で、
「モー、これが最後です。二人とも、骨まで砕かれてしまうでしょう」と叫びますと、村上さんは舟底に肱を立てて身体を起し、まったく静かな声で、