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ぎじゅつとかがくとのがいねん
技術と科学との概念
戸坂 潤
「帝国大学新聞」1941(昭和16)年6月9日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,825 字 · 8 页
電子核の人工崩壊、元素の人工転換・の実験が莫大な工業用エネルギーの獲得を窮極目的とするかも知れないなどと云うのではなく、この実験自身が、粒子や元素の製造である。抑々之はキュリ夫妻がラジウムを取り出したことに始まる系統の実験であるが、夫妻のしたことは始めてラジウムを生産したことだ。之が即ちラジウムの発見である。夫妻はラジウム製造というパテントを取らなかったために、アメリカのラジウム生産業者に貴重な自由を与えて了った。派生的な実験はとに角として、実験とは原則としてこういう物の生産ではないだろうか。物を生産するとは、どんな場合でも勿論エネルギーや物質を新たにつけ加えることではあり得ないから、物を一定の目標物へ変化させることだけで即ち生産なのである。
さてこの生産過程を或る程度自由に、即ち条件の変化と共に変更し得る形で、反覆実行出来る場合、それを法則の認識と云うのであろう。だから認識がなり立つ時は、すでに物の一定の生産が行なわれている時である。もし一般的にそう云えると想定するなら、科学的認識はつまり科学的な「物の生産」の一結果に他ならぬ、と云った方がいいのではないだろうか。