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ぎじゅつのてつがく
技術の哲学
戸坂 潤
「技術の哲学」時潮社、1933(昭和8)年12月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,443 字 · 164 页
だがこうした断片的な資料は、世界に於ける一般的失業状態と失業の大勢とを欺き了わせることは出来ないだろう。統計の単位の採り方にすでに根本的な批判が必要だということは抜きにしても、又この統計の社会的意義を結果に於て割引きするような反対材料が随処に見出せるということを抜きにしても(例えば人絹や綿・毛・織物業の好況に対して蚕糸業の徹底的不況等)、失業者数の絶対値が、今の場合にはいつも根本的な資料なのである。そしてその絶対値の大スケールに於ける終局的な傾向がいつも社会にとって問題なのである。
あらゆる希望に充ちたように見える材料にも拘らず、日本及び世界各国が、恒常的な失業に悩まされているという事実は、今更ここで指摘する必要のない事実だろう。吾々の今の問題は、技術家乃至広く之を含む限りのインテリゲンチャの失業なのであるが、インテリゲンチャ特に技術家の失業事情は、他の失業者乃至失業候補者(「産業予備軍」・没落資本家・等々)に較べて、特別な条件の下に置かれていることを注意しなければならない。
技術家が技術乃至科学による処のその特別な社会機能のおかげで、この資本主義の末期に於て、比較的安定な生活を保証されている所以を、すでに私は説いたが、この同じ条件が、ここでも亦技術家の失業事情を見るための特別な条件をなしている。