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ぎじゅつのてつがく

技術の哲学

戸坂 潤

「技術の哲学」時潮社、1933(昭和8)年12月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,443 字 · 164 页

青空文庫

社会主義的建設などは今日、何よりも顕著な積極的な社会的実験だと云われている。

* カントは自分の哲学を実験的方法に基くものだと考える。丁度コペルニクスが実験に基いて天動説を覆したように、彼も亦実験(但し思考の上の実験だが)に基いて形而上を覆すのだと主張する。――カントの所謂コペルニクス的転回とは、実は実験的転回のことであって、中心を対象から主観に移した点から云えば、寧ろ、コペルニクス自身の転回とは反対な態度だったろう(この点に就いてはすでに高坂正顕氏の所説がある)。

だがこの社会主義的建設の例は、マルクス主義的範疇としての実験が、単に自然科学の実験ばかりではなく、同時に社会に於ける実験――云わば社会科学的実験――をも意味しなければならぬということを、同時に示しているだろう。実験の本質を社会にまで結び付けたことは、マルクス主義的範疇としての実験が、如何に広範な含蓄を有っているかを示している。

実際、実験はマルクス主義的範疇の体系に於ては、一つの社会的な歴史的な範疇として、初めて一定の必然的な位置を占めることが出来る。というのは、実験は、社会的実践の一つの代表的な場合でなければならないからである。