轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ごうもんのはなし

拷問の話

岡本 綺堂

「新小説」1924(大正13)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,111 字 · 16 页

青空文庫

牢内の習慣で、拷問をうける罪人があるときは、牢名主その他の古顔の囚人どもが彼に対して色々の注意をあたえ、拷問に堪え得る工夫を教えて、たとい責め殺さるるまでも決して白状するなと激励するのである。そればかりでなく、あるいは口中に毒を含ませて遣る。殊に梅干の肉は拷問のあいだに喉の渇きを助け、呼吸を補い、非常に有効であると伝えられているので、往々それを口にして白洲へ出るものがある。吉五郎もその疑いで口中の検査をうけたが、別にそれらしい形跡も発見されなかった。彼は引きつづく拷問でよほど疲労したらしくみえるので、それから一ヵ月ばかりのあいだは吟味を中止された。あまり頻繁に拷問をつづけると、彼を責め殺す虞があるからであった。

五月十八日に彼は第八回の吟味をうけたが、勿論白状しそうもみえないので、またもや拷問にかけられた。今度も笞打と石抱きとであったが、石の数は一枚殖えて九枚となった。それでも彼はとうとう堪え通した。綿のように疲れきって牢屋に帰ってくると、名主や役附の者どもは彼の剛胆を褒めそやして、総がかりで介抱してやった。気の弱い罪人は一回の拷問で問い落されるのが多い、大抵の強い者でも先ず五、六回が行き止りであるのに、吉五郎は已に八回までも堪え通したのであるから、牢内では立派な男として褒められた。