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きょこくいっちたいせいとこくみんせいかつ
挙国一致体制と国民生活
戸坂 潤
「改造」改造社、1937(昭和12)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,570 字 · 17 页
恐らくそれは云わば著しく観念的な挙国一致ではないかと考えられる。もしそうだとすれば、之はまだ本当の挙国一致ではない。そうするとつまり、現実の国民生活安定の代償として、観念的な国民生活安定として、この挙国一致が与えられたということになるのである。
七八百万円にのぼる国防献金、街頭至る処に所狭いまでに氾濫している千人針婦人、これは生きた事実である。決して空疎な流行でも何でもないだろう。国防献金の可なりの部分は…………………………………………………団体の統制による献金であるが、団体をしてそういう行動を取らせ、又団体のこの行動に団体員が喜んで付和するということは、決してただの模倣などではなくて、或る現実の力の現われだ。――世間には千人針を以て迷信であるとけなす「迷信打破」主義者も少なくない。千人針は迷信だから宜しく某々神社のお札に代えよ、という意見さえ見たことがある。千人針が迷信であってお札が迷信でないというのは少し妙だと思うが、実はどっちも単なる所謂「迷信」ではあるまい。仮に之を迷信だとしても、この迷信を信ぜざるを得ない心理には真実があるだろう。処が本当の迷信は、弾丸が当るとか当らぬとかいう物理にあるのではない、こういう「迷信」