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きょこくいっちたいせいとこくみんせいかつ
挙国一致体制と国民生活
戸坂 潤
「改造」改造社、1937(昭和12)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,570 字 · 17 页
臨時増税の意図が、公債発行額を出来るだけ少なくすることによって物価騰貴の現象を表面化さないようにする点にあるのは、云うまでもないが、事変費の追加予算は第一号第二号第三号第四号という具合に続くわけだから、物価のより以上の騰貴は必至である。物価騰貴の経済学的説明は貨幣数量説とか何とか色々あるそうであるが、併し今日官民共に認めている学説らしく見えるものは、生産力の不充分をばその原因と見做している。その証拠には、生産力拡充とそれに必要な熟練工の養成さえが(高等小学校に於ける技術教育までが)、最後の課題となっているのを見ても判ろう。して見ると物価騰貴は根本的には生産力と公債発行高乃至予算実施高との関係に抽象され得るようにも思われるのだが、とに角、少なくとも小商人其の他がボルことに基くと考えることは出来ない。買い占めや売り惜しみなどは、そもそもこの根本原因の末梢的結果だろう。それにも拘らず、主としてこの商人達を相手とする商工大臣農林大臣の連署になる省令暴利取締令の範囲拡大の公布は、如何にも物価騰貴対策という国民生活安定策の一つでもあるかのように、提出されている。