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きょこくいっちたいせいとこくみんせいかつ
挙国一致体制と国民生活
戸坂 潤
「改造」改造社、1937(昭和12)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,570 字 · 17 页
ただこの両義の国防観念の対立相剋は、現内閣によって封じられて了っているので、国内対立の相剋緩和こそが今日のモラールであるというわけだから、この対立問題も消えてなくなって了ったように見えるのだ。今日、国防なるものの意義の検討などは意味ないものとされているようだ。丁度、分析などは必要としない何でも提案さえすればいい、と云いたがる、例の一派の新日本的文士と同じ態度なのである。
膨大な軍事予算と国民生活安定予算との矛盾をば、狭義国防と広義国防との対立として衝いたのは、社会大衆党などであった。それから、それ程ハッキリと明晰な観念を有たないにしても、多少本能的にこの本質的な関係を衝いたものが、既成政党や所謂自由主義者であった。処が日本に於ける所謂自由主義なるものは、事実上民衆の平均常識なのであるから、つまりこの矛盾への注目は、国民の時代常識であったわけだ。之が現下の日本国民の常識であるという歴然たる事実を認めまいとするものは、まず何等かの意味でのファシストであると断じて誤らない。所謂自由主義――その意義は実際は曖昧なもので説明を要するのだが――の是非は今問題ではない、それに連関して日本に於けるデモクラシーの未熟・未成長・も論外とする。