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きょこくいっちたいせいとこくみんせいかつ
挙国一致体制と国民生活
戸坂 潤
「改造」改造社、1937(昭和12)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,570 字 · 17 页
いや問題に出来なくはないが、問題にする角度が、例の国民的政治常識とは違った角度となって来たのである。
その最もいい例は保健社会省の新設の類だろう。之は初め保健省という名で立案された。というのは壮丁としての国民の体位が低下したという動員的意味から動機づけられたものであった。体位という一見珍しい用語は、社会的な意味に於ける健康という常識用語とは勿論一つでない、国民の肉体的幸福が特に戦闘的生産力(?)として改釈されたものに他ならぬ。そこに物を見る角度の変化又は推進がある。そしてこの推進的な角度を更に社会政策全般にまでも推進させようとするものが、保健社会省という観念だ(実際は必ずしもこの観念に忠実にばかりは行かぬわけだが、今問題は観念である)。社会政策に於て医療の占める位置は勿論重大であるが、社会政策が医療を中心にすると云ったら滑稽だろう。社会政策を軍医的な角度から見ることは、社会常識的ではない。だが社会政策の角度の挙国一致的角度への推進の結果は、こうした常識の変更をも必要とするようにさえ見える。
この例でも気がつくように、挙国一致なるものは、角度を常識外へ推進させた意味での「社会政策」