轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

りゃくだつせられたるおとこ

掠奪せられたる男

豊島 与志雄

「新潮 第二十九卷第三號」新潮社、1918(大正7)年9月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,398 字 · 48 页

青空文庫

それはかの乞食に出逢った晩から初った。

その乞食というのは汚いいざりであった。両袖をもぎ取った汚い黄色がかった浴衣地の襤褸を着て、その裾をまくった両足には、紺の股引らしいものをはいていた。両方の足の先は、軍隊用のゲートルみたいな布でぐるぐる巻いてあった。その両足をずるずる引きずりながら、草履をはめた両手と膝頭とで匐い廻っていた。頬骨の高く聳えた眉の濃い見るから悪党らしい顔の上には、茫々と伸びた頭髪が垂れ下っていた。背中に大きな雑嚢を一つ背負っていた。何がはいっているか、それは円く脹らんでいた。

もう夜はだいぶ更けていた。然し大勢の人が彼の後からぞろぞろついて歩いていた。「何だろう。――何処から来たんだろう。――巡査は咎めないのかしら。――今晩は何処で寝るつもりなんだろう。」――人々は口々に何か低く囁き合っていた。然しそう囁き合う人達の顔と乞食の姿とを等分に見比べながら、黙ってついて歩いてる人々の方がなお多かった。そのうちに酒屋の小僧らしい少年が一人居た。彼は謎の鍵を知ってでも居るかのように得意そうな顔をして、あたりの人々を顧みながら云った。「また来やがったな。