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たんていしょうせつのなぞ
探偵小説の「謎」
江戸川 乱歩
1 奇矯な着想「オール読物」文藝春秋、1954(昭和29)年10月号<br>2 意外な犯人「週刊朝日 推理小説特集号」朝日新聞社、1955(昭和30)年10月10日<br>3 兇器としての氷「犯罪学雑誌」日本犯罪学会、1952(昭和27)年3月復刊号<br>4 異様な兇器「読切小説集」テラス社、1953(昭和28)年11月増刊<br>6 隠し方のトリック「探偵倶楽部」共栄社、1953(昭和28)年8月号<br>7 プロバビリティーの犯罪「犯罪学雑誌」日本犯罪学会、1954(昭和29)年2月号<br>8 顔のない死体「探偵倶楽部」共栄社、1952(昭和27)年5月号<br>9 変身願望「探偵倶楽部」共栄社、1953(昭和28)年2月特大号<br>10 異様な犯罪動機「宝石」岩谷書店、1950(昭和25)年8―11月号<br>11 探偵小説に現われた犯罪心理「文化人の科学」、1947(昭和22)年3月号<br>12 暗号記法の種類「宝石」、1953(昭和28)年9・10月号「類別トリック集成」の一部<br>13 魔術と探偵小説「新青年」、1946(昭和21)年10月号<br>14 明治の指紋小説「宝石」、1950(昭和25)年12月号<br>15 原始法医学書と探偵小説「自警」、1951(昭和26)年9月号<br>16 スリルの説「ぷろふいる」、1935(昭和10)年12月号<br>「類別トリック集成」目次「続幻影城」早川書房、1954(昭和29)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 页
それには、実に手数のかかる大がかりな手品を発明したのである。
X駅とY駅の中間の淋しい山中に、廃物になった支線がある。犯人はそれを利用したのだ。目的の貨車だけをその支線に入れて、後部の貨車が切りはなされることなく、無事にY駅に着くようにするトリックさえあれば、この不思議がなしとげられる。そのトリックを考えだしたのである。
それには共謀者三人を必要とする。Aは問題の貨車の中に忍び、Bは支線のポイントの所に待ちかまえ、Cは支線に辷りこんだ貨車に飛びついて足踏みブレーキをかける役である。
列車出発前に、あらかじめ両端にかぎのついた太い長いロープを貨車の中に隠しておき、X駅を出発するやいなや、Aはこのロープの両端のかぎを目的の貨車の前の車の接続器とあとの車の接続器とにひっかけ、ロープは目的の貨車の外側をまわしておく。こうして太いロープで目的の貨車の前の車と後の車とがつながったわけである。
支線に近づくと、Aは前後の車の接続器をはずし、前車と後車はロープだけで接続されているようにする。ポイントのところに待ちうけていたBは前車の車輪が支線の分岐点を越すのを見て、急造に転轍機をおろし、目的の貨車が支線にすべりこむようにする。