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たんていしょうせつのなぞ
探偵小説の「謎」
江戸川 乱歩
1 奇矯な着想「オール読物」文藝春秋、1954(昭和29)年10月号<br>2 意外な犯人「週刊朝日 推理小説特集号」朝日新聞社、1955(昭和30)年10月10日<br>3 兇器としての氷「犯罪学雑誌」日本犯罪学会、1952(昭和27)年3月復刊号<br>4 異様な兇器「読切小説集」テラス社、1953(昭和28)年11月増刊<br>6 隠し方のトリック「探偵倶楽部」共栄社、1953(昭和28)年8月号<br>7 プロバビリティーの犯罪「犯罪学雑誌」日本犯罪学会、1954(昭和29)年2月号<br>8 顔のない死体「探偵倶楽部」共栄社、1952(昭和27)年5月号<br>9 変身願望「探偵倶楽部」共栄社、1953(昭和28)年2月特大号<br>10 異様な犯罪動機「宝石」岩谷書店、1950(昭和25)年8―11月号<br>11 探偵小説に現われた犯罪心理「文化人の科学」、1947(昭和22)年3月号<br>12 暗号記法の種類「宝石」、1953(昭和28)年9・10月号「類別トリック集成」の一部<br>13 魔術と探偵小説「新青年」、1946(昭和21)年10月号<br>14 明治の指紋小説「宝石」、1950(昭和25)年12月号<br>15 原始法医学書と探偵小説「自警」、1951(昭和26)年9月号<br>16 スリルの説「ぷろふいる」、1935(昭和10)年12月号<br>「類別トリック集成」目次「続幻影城」早川書房、1954(昭和29)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 页
二つの部屋
早さでは、ポーストと私とほとんど同時ぐらい、ルブランはそれよりおくれている。
二つの部屋
Aという男がBに誘われて、夜中、ビルディングの一階にあるBの事務所へやってくる。そこで二人は酒を呑んで話していたが、BはAの油断を見すまして、突然襲いかかり猿ぐつわをはめ、手足を長椅子にしばりつける。そして、カチカチと時計の音のしている黒い箱を持ち出し、これは時限爆弾で、何時何分には爆発する。君はそれまでの命だといい、その箱を長椅子の下に入れて立ち去る。Aは非常な恐怖にうたれて、もがいているが、まもなく意識不明になってしまう。それは、さっきの酒の中に強い催眠剤がいれてあったためだ。
どれほど眠ったのか、ふと目をさますと、やっぱり元の部屋に縛られたままである。とっさに思いだすのは時限爆弾のこと。長椅子の下からカチカチという時計の音がきこえてくる。壁にかけた時計を見ると、爆発寸前、あと二分しかない。また、もがきにもがいているうちに、どうしたことか、縄がとけてくる。あわてふためいて縄をかなぐり捨てたが、あともう三十秒だ。パッと部屋を飛び出して廊下に出る。向うに屋外へのドアがある。