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たんていしょうせつをつくってもらいたいひとびと

探偵小説を作って貰い度い人々

国枝 史郎

「探偵趣味」1926(大正15)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,658 字 · 4 页

青空文庫

平林初之輔氏が探偵小説を書いた。書いて貰い度いと久しい前から、思っていた所の人である。処女作などとは思われない程、よく纏まったものである。理智的であって人情的、よく調和がとれている。多少文章はゴタツイているが、根が評論家のことであり、創作には不慣れと云って了えば、そういう難は救われる。のみならず頭のよい同氏のことだ、二度目の作に至っては、そんな欠点も無くなるだろう。

藤井真澄氏を無理にも進め、探偵小説を作らせたいものだ。僕に執っては無二の畏友、共同生活をしたこともある。その頃から僕は同氏には、良いことばかり教えられている。同氏は既に「新魔王」に於て、探偵脚本を書いている。その出来栄えも結構である。新魔王の解釈も氏一流だ。ただ其手法に至っては、少しく初期の探偵物に、こだわっているような所がある。

藤井主義は即科学主義である。同氏は科学主義に溺れているともいえる。だが決して溺れ過ぎてはいない。

近代芸術の特色として科学的ということは無視出来ない。わけても探偵小説は、そういう要素を多分に持つ。で、科学主義の藤井氏などが、この方面へ鍬を入れることは似つかわしいもののように思われる。