轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页

青空文庫

天皇の声が絶えるとすぐ、ひろ子は、

「わかった?」と、弟夫婦を顧みた。

「無条件降伏よ」

続けて、内閣告諭というのが放送された。そして、それも終った。一人としてものを云うものがない。ややあって一言、行雄があきれはてたように呻いた。

「――おそれいったもんだ」

そのときになってひろ子は、周囲の寂寞におどろいた。大気は八月の真昼の炎暑に燃え、耕地も山も無限の熱気につつまれている。が、村じゅうは、物音一つしなかった。寂として声なし。全身に、ひろ子はそれを感じた。八月十五日の正午から午後一時まで、日本じゅうが、森閑として声をのんでいる間に、歴史はその巨大な頁を音なくめくったのであった。東北の小さい田舎町までも、暑さとともに凝固させた深い沈黙は、これ迄ひろ子個人の生活にも苦しかったひどい歴史の悶絶の瞬間でなくて、何であったろう。ひろ子は、身内が顫えるようになって来るのを制しかねた。

健吉を抱いたまま小枝が縁側に出て、そっと涙を拭いた。云いつくせない安堵と気落ちとが、夜の間も脱ぐことのなかった、主婦らしいそのもんぺのうしろ姿にあらわれている。

伸一が、日やけした頬をいくらか総毛立たせた顔つきで、父親の方からひろ子へと視線をうつした。