轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页

青空文庫

「今晩も駄目か」

落胆したように渡辺刑事が囁いた。

落胆した渡辺刑事を慰めるように石子刑事は態と元気よく答えた。

「未だ落胆するには早い。今晩はきっと来るよ」

然し十二時を過ぎるまで予期した支倉は遂に姿を現わさなかった。人と云っては只一人、宴会帰りの学生らしいのが、朴歯の下駄をカラコロ/\と引摺って、刑事の跼んでいる暗闇を薄気味悪そうに透して見て通ったきりだった。

石子刑事は泣き出したいような気持だった。同じ気持の渡辺に何か話しかけようと思って捩じ向くと、遙か向うの方から怪しい人影が見えた。彼はブラ/\とこっちへ向って来る。

石子刑事ははっと緊張した。

怪しい影はだん/\近づいて来た。二重廻しにすっかり身体を包んで、片手に風呂敷包を抱えているらしいのがチラと見える。鳥打帽子を眉深に被っているが、色白の年の若い男で、支倉とは似もつかなかった。石子刑事は落胆した。

怪しい男はちっとも気のつかない様子で刑事達の前を通り過ぎると、支倉の家に近づいたが、彼は何の躊躇もなくツカ/\と門内へ這入った。

石子刑事は勇躍した。

さっきから様子を見ていた渡辺刑事も喜色を面に浮べながら、