轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页
活動小屋を出た頃には暮れ易い秋の日に、あたりは薄暗くなっていた。そこで夕食にと、支倉は貞に天どんを喰べさした。無心に天どんを喰べている少女を見て、支倉は果してどんな気持がしたであろうか。
彼は新宿からの帰途を態と山の手線の電車を選んだ。
当時貞のいる知合の家と云うのも目黒駅からそう遠くなかったので、支倉は別に疑われる事なしに彼女を誘う事が出来た。
目黒で下車した時には日はもうトップリ暮れていた。
目黒駅で下車した支倉は態と裏路を選んで、女を池田ヶ原の方へ連れ込んだ。
今でこそ目黒駅は乗降の客が群れて、中々の混雑を見せているが、大正三年頃は頗る閑散な駅で、昼間でも乗降客がせいぜい四、五人と云う有様で、ましてや夜となると乗降客は殆どなかった位である。それは大崎へ出る路は元より今のように家が立並んではいないし、表通りだけはバラ/\と家が立っているが、裏は直ぐ今云う池田ヶ原である。宵の口ではあるが、人通りなどは絶えてない。
支倉はたゞ広い草茫々と生えている野中へと進んで行った。貞は何気なくついて行く。やがて原の中央の古井戸に近づくと、支倉は態と足を遅らして、少女と肩を並べるなり、あっと云う間もなく彼女に飛びかゝって、かねて用意の手拭で絞め殺し、死体は古井戸の中へ抛り込んで終った。