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せいじとさっかのげんじつ
政治と作家の現実
宮本 百合子
「文学」1947(昭和22)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,700 字 · 37 页
包囲されたレーニングラードに翔んでいって、その都市防衛の生活記録を日記風に書いた。「前線通信員」の歌の文句のとおり、活気をもったソヴェト作家のほとんどすべてが「東に西に、南に北に」祖国防衛のために協力した。戦争が終ったとき、これらの作家たちが、疲労を休めながら、戦争中の文学的収穫の整頓・出版に忙しかったことは想像される。そのために、ソヴェト市民が求めているくつろぎと笑いとに答えるゆとりをもたなかったことも想像される。
このすき間にゾシチェンコが登場したと考えられる。ゾシチェンコは中央アジアのどこかに避難していて、羊の焙肉をたべていて、やせもしなかった体と、脂肪の沈着した脳髄とをもって、やつれはて、しかし元気は旺盛で、笑いを求めているレーニングラードに帰ってきた。そして自分の店をひろげはじめた。
ソヴェト市民が欲しがっていたのは、ハァハァと陽気闊達に笑う哄笑であり、仲間の脇腹を突つきながら、快心をもって破顔する公明正大な笑いであったのだろう。ソヴェト市民の生活感情に、そういうユーモアがないならば、イリフ、ペトロフ二人のような辛辣で人間らしく、しかも新社会の感覚にみちた諷刺作家は生れなかったはずである。