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きょうしとこども

教師と子供

小川 未明

「芸術自由教育」1921(大正10)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,648 字 · 4 页

青空文庫

子供は、教師の仕打ちをうらめしく思いました。そして、日の当たる地上に、金だらいを持って立ちながら考えました。

「ほんとうに自分はばかだ。ほかのものがみんな覚えるのに、なんで自分ばかりは覚えられないのだろう。」といって、涙ぐんでいました。その子供は、正直なやさしい子供であったのです。

学校の屋根に止まって、じっとこの有り様を見守っていたつばめがありました。つばめは、たいそうのどが渇いていました。つばめはよく、その子供がやさしい性質であるのを知っていました。

「どうしたんですか。みんなが教室に入っているのに、あなたばかりここに立っているのですか。私は、たいそうのどが渇いています。この水を飲ましてください。」と、つばめは飛んできて金だらいに止まっていいました。

子供は、いっそう悲しくなったのであります。

「ああ、たくさん水を飲んでおくれ。それにしても私は、どうして物覚えが悪いのだろう。私から見ると、おまえはどんなにりこうだかしれない。寒くなると、幾百里と遠い南の国へゆき、また春になると古巣を忘れずに帰ってくる。私がもしおまえであったら、こんなに先生にしかられることはないのだが。