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ぶんかさい
文化祭
「小説新潮 第八巻第九号」1954(昭和29)年6月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,978 字 · 28 页
即ち農村は戦争も損害賠償を生じる心配がなく、人類の住む場所ではありません。ここには民主主義もあってはいけないのです。雨が降る。太陽がてる。芋が育つ。それだけです。ボクは戦争反対ですが、農村が戦争反対でないのはそういうワケでして、これを同胞とたのむ我々の不幸がそこにあるワケです。思えば、実に、そういう次第です」
信二は黯然と目を閉じて瞑想する。政界の大物の答弁よりもワケがわからない。しかし彼は語ることに激しく感動しているらしく、
「ま、そういうワケです」
と、もう一度ひとり静かに頷いて結論をつけ加えた。
「どういうワケなんですか?」
「ハ? いま申上げましたようなワケです。まことに、どうも、悲痛きわまる次第なんです」
「なんだか、ゾクゾク寒気がするわね」
「そうなんです。この夕頃の時刻は、土中の農作物が一時に空気を吸いこみますために、にわかに冷えます」
「私はまたアナタのせいかと思ったわ」
「感謝します。ありがとう」
「どういう意味?」
「ボクのいつわらぬ心境です」
「変った村ねえ。まるで外国にいるような気持になったわ」
「いいですね。夢をみて下さい。異国の夢。青春の一夜です」