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ぶんがくとちほうせい

文学と地方性

宮本 百合子

「文芸」1940(昭和15)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,647 字 · 11 页

青空文庫

文学の将来性への希望として真面目にみられるものならば、地方分散の問題は、日本の文化のありようの多面な立体的な諸角度から着実に追求され、究明され、客観的な自身の歴史の意味をも思いひそめて、自他ともに扱うべきものだろうと思われる。更に日本の文学が文芸思潮というものを喪ったまま動いて来ているこの数年来の実情に沈潜して思いを致せば、今日文学に地方分散の傾向の見えはじめたことの内に含まれている要素が、どんなに錯雑した過程に立つものであるかも深く考えられるわけである。中村氏によって文学中央集権の崩壊と云われている現象は、文学のこととして云えばつまりは一貫した影響をもつ文芸思潮の崩壊を意味するであろう。そして今日では、都会での米、味噌、水にかかわることとして見られる部分があると云っても、あながち文学と全く無縁なものと笑殺され切らぬところも現実の相貌のこわい面白さだと思う。

〔一九四〇年七月〕