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ぶんがくにあらわれたるとうほくちほうのちほうしょく
文学に現れたる東北地方の地方色
佐左木 俊郎
(仙台放送局放送原稿)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,298 字 · 13 页
私はむしろ島崎藤村の『松島だより』を執りたく思います。島崎藤村は、『松島だより』の中で、松島を描くと同時に、東北地方の地勢のことにも触れていますが、これなどは、その地方色をよく描き出しているということが出来ましょう。
島崎藤村『松島だより』
「東北の地勢は広濶なる原野なり。山嶽の偉大なるもの相比肩して互に馳せ互に没するは中国の奇葩、東北の山脉はしからず、寧ろ広大なる丘陵の原野を走るが如き観をなせり。山もとより少なからず、しかも変幻出没して雲表に豪然たる偉容を作れるは少なし。中国の山は立てり、東北の山は横はれり、紫苑の花萩の花女郎花もしくは秋草野花をもてかざりとなせる宮城野の一望千里雲烟の間に限り無きが如きは、独り東北の地勢にして中国に見るべからざるの広野なり。この地勢に作られこの原野にさそはれて、吾国第一勝の松島は成れり。」
藤村の眼は鋭いと思います。
仙台を取り入れているものでは徳富健次郎の『寄生木』があります。
徳富健次郎『寄生木』
「出れば停車場の広小路。人の声、車の響、電燈、洋燈の光、賑やかで、眩しくて、美しくて、良平は胆を潰した。眼前には巍々堂々たる洋館、仙台ホテル、陸奥ホテル、和風では針久、大泉、其他数知らぬ旅館がある。