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ぶんげいじひょう

文芸時評

宮本 百合子

「中外商業新報」1937(昭和12)年7月30日~8月1日、3日、4日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,097 字 · 15 页

青空文庫

胸を圧される心持でバスにゆられてかえって来たら、私の住んでいる駅の方からバンザーイという沢山の人間の喉からしぼり出される絶叫が響いて来た。

昨今はこういう日常の雰囲気である。『中央公論』と『改造』とが北支の問題をトピックとしているほか、トロツキーの「裏切られた革命」の翻訳を別冊附録としているのは、誰しも一応の注目をひかれることである。『改造』の附録の方の翻訳署名責任者として荒畑寒村氏が、最後に「訳者の言葉」を附し、この四六判二百九十余頁に亙るトロツキーの「絢爛たる文彩、迫撃砲の如き論調、山積せる材料、苛辣なる皮肉」が結局「どんなに善意に解釈しても、ソヴィエットの社会主義的進化の実状に対するトロツキーの思想と思索方法とが全く動脈硬化的な抽象論を一歩も出ていない」という翻訳者として意見を表明しておられる。

『改造』では、更に猪俣津南雄氏の「トロツキーの『裏切られた革命』」という一文をのせている。猪俣氏の平明な健康な常識は、ソ連における政治経済事情の歴史的推移の過程の要所にふれつつ、トロツキィーが「もしその間の事情を『科学的に評論』することが出来たならば、恐らく彼はこの『裏切られた革命』