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ぶんげいじひょう

文芸時評

宮本 百合子

「東京朝日新聞」1932(昭和7)年1月28~31日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,930 字 · 16 页

青空文庫

から、少しでもそういう目で見られては困ると断り書をつけている。

そんな断り書をつける位なら、漠然として、現実の影響力のない本文かというと、どうして。筆者がこの数万語で煽ろうとしている民族の対立は本能である、というにくむべき侵略主義の煽動、ソヴェト同盟についての非科学的なデマゴギー、「第二次世界戦争発端」という題名の仮面の下にたくみに満蒙事件の拡大の可能を暗示しているあたり、毒々しいものだ。――

こうして今日のブルジョア文学のファッシズムへの奉仕あるいは屈従の断面は、僅か二冊の雑誌の中にさえまざまざと反映している。これまでブルジョア作家、労農派の社会民主主義作家たちが必死に守って来た作家としての個性の差異などというものは、めいめいがただどんな音色でそれぞれのファッショの歌をうたうかというだけの僅かな違いを示す以外、無力な意味ないものとなってしまった。

提出したい問題

――徳永直の作品を読んで――

ファッシズムは大衆の毎日の生活の中に、きわめて現実的なかたちをとって現れている。賃銀切下として、又はブルジョア産業合理化・労働強化、工場内の体育部の反動御用化として、あらわれている。