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ぶんげいじひょう

文芸時評

宮本 百合子

「東京朝日新聞」1932(昭和7)年1月28~31日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,930 字 · 16 页

青空文庫

こんにち、川端康成が、ファッシズムに反対する立場をあきらかにしていることは、すべての人の知るとおりである。

神秘主義がファッシズムとの間にもっている危険な関係は、ナチスの美学がその後あらわにしたように、現実からの逃避や、主観的観念性、幻想の壤土となるからである。現実での暴虐、流血を神秘主義に色どって、その強烈さで、理性を麻痺させることは、ヒトラーの方式であった。その拙劣な真似に、日本の軍部の方式があった。「暁に祈る」が、その名称そのもので実証した。

黄色い特派員

――里村欣三の満蒙通信――

改造社が、里村欣三を満蒙特派員として派遣した。二月号『改造』に「戦乱の満蒙から」という通信をよみ、強く一つのことを感じた。それは、筆者里村欣三が何たる民主主義者であろうかという事実とブルジョア・ジャーナリズムはこういう特派員を選ぶに何とうかつであろうかということだ。この文学的表現をもった記事から=ブルジョア報告文学から、われわれは何を知るか? 何も知ることはできない。ブルジョア新聞に書けるだけのことがブルジョア新聞記事のイデオロギー的基礎の上に立って書かれているにすぎない。