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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页
二
二
翌朝になっても乳母はこないばかりか、千葉の方へ問合せても返辞すらなかった。為方なく毎日貰い乳をしたが、産婆からの紹介ですぐ下田端に乳があるということで、人手はなし動坂は遠いから、ひと先ず下田端の方へ貰いにゆくことにした。
「動坂は善い人たちだが人手がないから、よく礼を言ってお断りしよう。」
動坂へ礼に行かせ、田端の下台へ毎日三度ずつ行くことにしたが、平林も夏もそのたんびに、下駄や着物の裾まわりを泥だらけにした。梅雨に入った元田圃であった下台は、泥濘で歩けない道路であった。一度なぞ夏は泥の中をころげ、胸のところまで汚してかえって来た。
「道路が悪いなんてまるで歩けないんですもの。」
あまりたびたびそういうので、私はそれだけなら我慢をして呉れとも言った。が、勝手口でその事を繰りかえされるとしゃくに障った。
「イヤなら止めてくれ。」
とも云った。
平林は、泥まみれになっても、黙って井戸端で洗足して、そのことを口へ出さなかったが、垣根につかまったりして歩くのか、指股に泥をよく食附けていた。
「どんな家かね。」
「会社員みたいな家です。」
私はさきで厭なかおをせぬか、と、気になり平林にたずねた。