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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页

青空文庫

松岡は廊下へ出た。

二階からの上り口へ何かぼんやりと明るみが浮いていた。

「あの明りは小窓からさしてくる明りだ、いつも気づかないのだ。とにかく三階の部屋を一と通り見廻ってやろう、どうもそうしないと寝られない。」

松岡は一つ一つの部屋を見廻ってあるいていると、末枯れどきのうそ寒さが慄々と肌身に沁みついた、からだが震えて止りそうもなかった。幾度もくもの巣で顔を撫でられたが、そのたびに松岡は股から逆に水を浴びたような気がした。

松岡が階段の上の板の間に出たとき、突然、造花屋の主婦の声が鋭く階段口から叫ばれた。

「誰方ですか。いまごろ――」

寝床から起き上って叫んだような声であった。

「僕です。」

「どうしたんです。」

「実はちょっと何で……見廻っているのですが。」

階下は森とした。

「わたくしも先刻から二階にどうも足音がしているような気がして、冴えて、ねむれないんですよ、そしたらあなたがまだ起きていらっしゃるんですもの、それでやっと吻としたのですが……」

主婦は起き上ったような声で、大声で、誰かにあてつけたように言った。「しかし、わたくし考えますには、足音は三階ではなく二階の方でございましたよ、あなたの足音とは違う足音です。