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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页
それに不思議な胸騒ぎが先刻から間断なくして、主婦に見られるのも工合のわるい程、総身がふるえて仕方がなかった。廊下で主婦はふと皮肉めいた顔付で、松岡を見戍りながら言った。
「奥さまはよくお寝みになれますね。」
「奥さまって?」松岡は驚いて蒼くなった。
「夕方、いらしったじゃありませんか? あの方は奥さまなんでしょう、美しい優しい方じゃありませんか?」
「あれは帰った筈です、あれから間もなく用事ができましてね。」
「いいえ、お帰りになりはしませんよ、階下にはちゃんとお召しものがあるんですもの。」
松岡は頭がぐらぐらとして、後脳が斬り取られたように軽い感覚の無い眩惑を感じた。
「それは本統ですか。」
松岡は主婦の顔を睨むような眼附で、わなわなと顫えた。
「でも、あれから一度も階下へお下りにならないんですもの。わたくしお食事の時も気がついていたんですけれど、却って何んだと思いましてね。」
「実は……」松岡は喉の掠れた声で言った。
「あれから間もなく帰ったんですよ、すこし用事があったので、――履きものがあるというのは、本統のことですか。」
「じゃ、階下へ行ってごらんなさいまし。