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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页

青空文庫

二

それ故、かまいたちという、薄暗がりの樹の上にかがんでいる鼠のような影が、いかにも赤星重右に似ていたから、人々は、鎌いたちとさえ云えば、なりの低い、重右の姿を思い出した。――晩方、重右の屋敷へ忍び込んで見たものの話では、かれは何時ものように普通の人なみに寝ていたが、しかし、得体のわからない陰気な顔をしていたと答えた。かまいたちその物が、ひょっとしたら赤星重右ではあるまいかと、人々は、蒼白い晩方の店さきや詰所などで、噂し合って気味わるく感じた。が、べつに赤星重右は不思議な人物ではない。なりの矮い、骨格の秀でた、どこか陰気な煤皺の寄ったような顔をしていた。

二

城内では、得体のわからない赤星に盾衝く剣客がいなかったので、かれをどうかして他の藩に追い遣るか、召抱えるかしなければならなかった。が、召抱えるということは、性の分らないこの剣客には、家老達も不賛成をした。何かの理由のもとで、何処かへ封じてしまったらという発議が、城内役人の間に起っていた。というのは、どう考えても、彼自身が何かしら憑きものがあるような、よく町裏の小暗いところを歩いていたりしている様子が、どこか普通の人間離れしたところをあらわしていた。