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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页

青空文庫

ほんとにこんな大きい声を出す子はありません。」

病院からかえった女は、いくらか足が楽になったらしいと言って、赤児の足をみせた。わずかしかない肉附きを揉むなんて、やはり私は信じかねた。

「いまに後悔することがあっても、おれは知らない。あそこへ連れてゆくのはどうも厭な気がする。」

「だって仕様がありません。」

「全く仕様がないことだ。」

私は黙り込んでしまい、室を立った。赤児はすこしずつ肉がついたようにも見え、瘠せたようにも見えた。食事をするとき、ああと言い、何かをつかもうとした。赤児がそばへきていると、食事がウマかった。自分のようなものにもこんな子が生れたのだという、あたり前の考えが珍らしく、きめ細かい人間の内側のちからを感じた。

緑が深くなると、向いの画家のKさんの家でも、おとなりの早瀬さんでも、気候が不順だからと、鎌倉と房州とへ子供をつれ転地をした。どちらにも弱い子があったが、それよりもずっと家の赤児はよわかった。そういう隣近所のことを聞いただけでも、東京に居残っていると病気になりそうで心寂しかった。

或晩、地震が来た。恐ろしい音が屋内をもんどり打った。