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あたらしいていこうについて
新しい抵抗について
宮本 百合子
「学生評論」1号、1949(昭和24)年9月発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,451 字 · 31 页
この場合の「奉公」は、公の一存在としての人民生活、市民生活への奉仕という近代民主主義の要素とはちがったものです。「公僕」という言葉が、民主日本になったからいわれはじめたけれど、その「公」というものが実感の中で「公のものである人民」として感覚されていないことは、警官の見事な武装行列とあばれ振りでよく分ってきています。
日本のこういう文化的下地は、実に重大な特徴です。この下地があるからこそ日本のファシズムが、左からまわって――共産主義の批判ということを正面にたてて――たやすく影響をひろげ得るわけです。
今日の日本の人々の感情の中には、もとよりファシズムでもない、さりとて共産主義にもつきかねて、何処かに安定感を求めている感情があります。わたしたちは、本当にもう戦争はいやだし、人間らしくない怒号で狩りたてられることはいやだし、なんぞというとすぐ激昂する、あらあらしさはうんざりです。しかし、日本の現実には安定をもとめている多くの人々の感情をおだやかにうけとめることのできるような社会的条件が生れていません。四年前の八月十五日、ポツダム宣言を受諾した日本の政府が、誠意をもって破滅した日本の社会再建のために奮闘して来たならば、日本の民主化というものはもう少し社会感情としても実体をもってすすんで来たはずです。