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あたらしいぶんがくのたんじょう

新しい文学の誕生

宮本 百合子

若い人に贈る

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,325 字 · 13 页

青空文庫

わたしの生活はこのようにあんまり野蛮で苦しかったから、読む本は英雄的なものや、空想的なものが面白かった。そういう本をよんでいる間は現実の苦しさからはなれることが出来たから、と。そういう意味を書いている。このことも、わたしたちが文学にふれる機会が、多く偶然からはじまる、という事実とともに、考えさせられる第二のことである。

資本主義の社会では、出版という仕事も企業としてされる。資本主義の企業は、本質として利潤をもとめている。一定の量の紙をつかって一冊の雑誌をこしらえるために或る資本がいる。その投資を出来るだけ利まわりよく回収するためには、一冊の雑誌が高くてもどっさりうれるようにしなければならず、売れる、ということのためには、日本の人口の大部分を占める人々――大衆のこのみに合うことが必要となって来る。大衆のこのみとはどういうものだろう。こまかくしらべれば大変複雑で、音楽好き、映画好き、スポーツ好き、様々ではあるが、大体、人間として一応興味をひかれることがらというものはある。衣、食、住のこと、それから恋愛など、愛と憎しみの諸問題。その素朴ないくつかの主題は、その社会がそのときおかれている歴史的な条件で、さまざまに表現をかえて来る。