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あたらしいまち

新しい町

小川 未明

「童話」1925(大正14)年11月号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,465 字 · 11 页

青空文庫

「このとびらを押せ。」と、書いてありました。

幸三は、探偵小説にあるような場面だと思いながら勇気を出して、そのとびらを押しました。すると、鈍い音をたてて、そのさびたとびらは暗い奥の方へ開きました。

暗い内部には、電燈がともっていました。そして、だんだんと下の方へ深くなっていて、地下室になっていました。彼は、段を降りかけました。すると、下に、一人の労働服を着た少年がじっと彼の降りてくるのを見つめていました。

「なんで、こんなところへきたんですか?」と、少年の労働者は、たずねました。

幸三は、働いて、自分の希望を達したいと思って、紙きれをたよりにたずねてきたことを話しました。

「そうですか。しかし、あなたでは、仕事が骨がおれてつとまりますまい。たいていの大人がやってきてさえ、辛抱がしきれずにいってしまうのです。仕事というのは、ほかでもありません。ここに積み重ねてある鉄板を奥へ運ぶのです。なかなか力がいって、疲れますが、あなたがなさる気ならやってごらんなさい。」と、少年の労働者は、いいました。

いかにも、その少年は、ものいいがはっきりとしていました。そして、美しい、清らかな目をしていました。