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しんがっきこうしんきょく
新学期行進曲
海野 十三
「家庭コント 新学期行進曲」JOAKラジオドラマ台本、1938(昭和13)年9月30日放送
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,626 字 · 20 页
△蒲団を出す音。母親は襖をしめて、もとの茶の間にかえってどさりと座る。
母親 本当に道夫に代ってやりたいわねえ、あたしなんかちっとも睡かないわ……さあ、もっと先を勉強しておきましょう。道夫がどの位勉強したかを験すのは、あたしが道夫以上に、何でも覚えてなくちゃいけないんだわ、一人子の母親って、誰でもこんなにやきもきするものかしら。(気分をかえて)えー斧足類は蛤に蜆に牡蠣、あさり、あげまき、帆立貝、赤貝、ばか貝。
△音響、格子ががらがらとあく。(父親の帰宅)
父親 なんだ。赤貝にばか貝か大変な御馳走だな。しかし、ばか貝は止してくれ。青柳という粋な名があるじゃないか。
母親 お帰りなさいまし。あなた、御飯はもうお済みになりましたの。
父親 どういたしまして。これから洋服をぬいで、そこの長火鉢の前で御馳走になるてえ順序でござんす。
母親 まあ……。
△洋服をぬぎ、洋服かけがちゃつく。同時に膳部の仕度の音、薬鑵、飯櫃の音。
母親 さあ、どうぞ。
父親 よお、どっこいしょ、と……ああ道夫はどうした。
母親 あのう、たいへん睡くて、脳髄がお豆腐のようになりそうだと、こう申しますので、お先に寝かしてやりました。