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にいじましげるちょ『しゃかいうんどうしそうし』しょひょう
新島繁著『社会運動思想史』書評
宮本 百合子
「唯物論研究」1937(昭和12)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,384 字 · 5 页
私たち一般人の日常生活の内外に相関連する社会的現実は、この二三年益々複雑多岐、錯綜、紛乱を極めて来ている。こういう社会の激しい矛盾の有様は、将来どうなってゆくのであろうか。今日このように巨大決裂の予感を感じさせている社会は過去にどのような歴史を辿って来ているのであろうか。そういう現実の根源の推移を司る力というものがあるなら、そして、その法則というものがあるのなら、それを知りたいという心持は、近頃の読書分子の生活欲求の中に強く作用して来ている。歴史を読みたいという人々が著しく殖えて来ているのだが、それは、とりも直さず今日の諸現象を、いくらかでも正確に、本質的に理解し得るきっかけを捕えたい望みであり、古本屋で、ベルリンでは無い古典が多く売れる事実となって現れているのである。
三笠書房で出版されている唯物論全書の仕事も、今日の我々の周囲をとりかこむ社会の色調との対照に於て、深く評価されなければならず、同時に社会の底潮の頼もしさをも感じさせる。
新島繁氏がこの全書の一冊として著わされた「社会運動思想史」は、今日の日本におけるこの種の本の存在の意味と、それを読もうとする人々の人間的な知性の活溌さというものに、実に愛を傾けて書かれていると感じた。