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にいじましげるちょ『しゃかいうんどうしそうし』しょひょう

新島繁著『社会運動思想史』書評

宮本 百合子

「唯物論研究」1937(昭和12)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,384 字 · 5 页

青空文庫

著者はこの三百二十余頁の小冊子の中に、人間の能動的意志としての歴史を科学的に叙述しようと努力しているばかりでなく、それを「新しいヒューマニズムの観点からの叙述」とし、読者の知識慾に答えると共に人類の営々たる進歩のための努力、献身への共感を呼びさまそうとしているのである。

全書の他の本と比べる機会は持っていないのであるが、恐らくこの「社会運動思想史」ぐらい、著者の胸の鼓動がありのままにつたわっている解説書は類がすくないのではないだろうか。その長所と欠点とにおいて、著者は全く自己の真心を披瀝しており、読者の人間性の皮膚にじかにふれんとする情熱を示している。その意味で、解説的、入門的な本の書きかたにおける新たな親しみ深さ、人柄の流露のタイプを提出していると思う。

序文によると、著者は初め、今私達の目前にあるのとは異ったプランで、この本の準備をされたらしい。現在の主篇を第一篇西洋として、第二篇に東洋の歴史をとりあげ、第三篇には婦人の解放史をとりあげられるつもりであったらしい。ところが、この本では枚数とそのほかの理由で、社会思想前史ともいうべき内容にとどめられた。