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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
長谷川時雨『新編 近代美人伝 (下)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:市川九女八、江木欣々女史、遠藤(岩野)清子、大塚楠緒子、九条武子、朱絃舎浜子、田沢稲船、柳原燁子(白蓮)、モルガンお雪。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 页
守田座移転は明治四年だというが、新富町新富座という、堂々たるものになったのは、九年霜月末に焼けてから再築し、十一年春に、西南戦争を上演して大入をとってからだ。
明治十年の西南戦争は、明治政府の功臣たちの間の争いであり、兵の組織も新式になってからであるから、薩南の地であったとはいえ、朝野を挙げて関心をもっていた。西郷隆盛は、江戸人が恩人として尊敬し、愛していた大人物だった。その人の最後を知ろうとするものが殺到したのだから、大入りだったわけだ。しかも、この戦争劇が、守田勘弥を上流人に接近させる便宜を得させたのだった。
芝居人と紳士、学者との交際が対等になった。それは明治の諸政一新という御思召により、四民平等の恩典に浴したためではあるが、西南戦争劇上演のために、薩南の事情を明らかにするには、当時の顕官に接近せざるを得ない。もとよりその機を望んでいた勘弥が、取り逃すようなことはしない。新富座主の豪遊する、木挽町の待合は、明治顕官の遊ぶところで、当時の待合のおかみ、芸妓たちは、お客の顕官を友達のように思っていたりするので、勘弥とその人たちを結びつかせた。