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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
長谷川時雨『新編 近代美人伝 (下)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:市川九女八、江木欣々女史、遠藤(岩野)清子、大塚楠緒子、九条武子、朱絃舎浜子、田沢稲船、柳原燁子(白蓮)、モルガンお雪。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 页
彼女の毛は、解いたならば、昔の物語に書いてある、御簾の外へもこぼれるほど長いに違いないほどたっぷりと濃いのを、前髪を大きく束髪も豊かに巻いてある。
「こうして、ちゃんとしてお目にかかるのははじめてだけれど、あなたはあたくしのことはよく御存じだから――たったひとつあなたには聴いておいて頂きたいことがあるのよ。」
彼女はあたしの友達の、箏の名人の浜子を見てつけたした。
「折角お招き申してもおさびしいといけないと思って、一番仲のよいお友達と御一緒にと申しあげましたの。」
一風も二風もある浜子は、その光栄を、軽く頭をさげておいて先刻のふくみ笑いをまだつづけている。
合客は、ある画伯の夫人と、婦人雑誌で名の知れた婦人記者磯村女史だった。その人が、欣々さんからの使者にたってて、出ぎらいだったわたしを引出したのだった。
「美人伝は、こちらがお書きになってらっしゃるから、いけないけれど――」
と、画伯夫人は、列伝体のものを、欣々女史の名で集めて残したらよかろうということを、しきりに勧めた。
「そういえば――」
と、それが言いたい、今夜の招待だとも知れぬように知れるように彼女は言いだした。