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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
長谷川時雨『新編 近代美人伝 (下)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:市川九女八、江木欣々女史、遠藤(岩野)清子、大塚楠緒子、九条武子、朱絃舎浜子、田沢稲船、柳原燁子(白蓮)、モルガンお雪。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 页
あの方に盛装して巴里あたりを歩いていただきたい。
といわれた。米国の女詩人が、白百合に譬えた詩をつくってあげたこともあるし、そうした概念から、わたしは緋ざくらのかたまりのように輝かしく、憂いのない人だとばかり信じていた。もっとも、そのころはそうだったのかもしれない。
桜ですとも、桜も一重のではありません。八重の緋ざくらか、樺ざくらともうしあげましょう。五ツ衣で檜扇をさしかざしたといったらよいでしょうか、王朝式といっても、丸いお顔じゃありません、ほんとに輪郭のよくととのった、瓜実顔です。
と、おなじ夫人がいったことも、わたしは書いている。
それなのに、なぜ、その時のままのを、他の人のとおりに、古いままで出さないのかといえば、わたしは女でなければわからない、女の心を、ふと感じたからで、あたしには偽りは言えない。といって、生ているうちから伝説化されて、いまは白玉楼中に、清浄におさまられた死者を、今更批判するなど、そんな非議はしたくない。ただ、人間は悲しいとおもいあたるさびしさを、追悼の意味で、あたしの直覚から言ってみるに過ぎない。笞の多くくるのは知っているが、手をさしのべて握手するのも目に見えぬ武子さんであるかもしれない。