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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
まだやっと七つの咲二が、恐れ恐れている禁厭を、観念した心持で掛けられる様子。お咲の狂乱した姿、おらくの念仏。父親が、不快なときに立てるあの陰鬱な足音……。
不幸の底に沈んだ二組の親子の有様が、彼の目に活きて動いた。何ともいえず痛ましいことだ。極端な悲しみが、彼の涙を凍てつかせて、肉体的の痛みを、眉と眉の間に感じたほどであった。
「誰がこれを起す原因となったのか?
誰が咎められるのか?」
浩は、うめくようにつぶやいた。
「姉さんは、お母さんに愛された。この上もなく可愛がられた。咲二は家中の者に心配されたのだ……」
「それっきりか?」
彼は、何か訊ねるように狭い廊下の白壁を見廻した。五燭の電気に照らされて、ぼやけた彼方の方から、「それっきりか? それっきりか?」という合唱が迫って来るような気がした。が、それっきりである、まったく。彼は、おらくがただの一度もお咲をきびしく叱ったのを見たことがないと同様に、叱られている咲二を見たことがない。
「ただ愛情があっただけで?」
浩は寒い心持になって、歯を喰いしばった。
「ただ愛情があっただけで!」
彼のたよりない紙片の上にまで、卵を遺させた、「大自然の意志」